ICL(フェイキックIOL)術後の老眼&想定眼病リスク対策
ICL術後19年目のリアル

ICL(フェイキックIOL)術後の老眼&想定眼病リスク対策

ICL(フェイキックIOL)手術を受けても、老眼からは逃れることができません。個人差はあれど、ある程度の年齢に差し掛かると老眼の症状が現れます。

また、強度近視の場合、加齢に伴い眼底疾患のリスクも徐々に高まります。緑内障、網膜剥離、白内障。こうした目の症状に対する備えについて考察します。

PRICLの疑問

強度近視の構造的弱点:眼軸長とリスクについて理解する

眼軸長イメージ

目の表面から網膜までの長さ(奥行き)のことを【 眼軸長(がんじくちょう)】といいます。上図の通り、強度近視の場合はこの奥行きが長く引き伸ばされた状態となっています。 前後に引き伸ばされた状態 = 常にテンションがかかった状態となり、これが眼内組織への負担となります。

具体的には、網膜剥離や緑内障などの眼底疾患にかかる可能性が高くなっている状態です。 フェイキックIOL(ICL)は眼内にレンズを埋め込む手術であり、残念ながらこの眼軸長の改善には寄与しません。

  • 強度近視 = 目の構造上、眼軸が長い状態
  • 眼軸が長い = 目の組織に負担がかかり、緑内障や網膜剥離など眼底疾患リスクが高い状態
  • ICL(フェイキックIOL)の手術は、眼軸長とは無関係(手術によって改善も悪化もしない)
  • ICL(フェイキックIOL)の手術有無に関わらず、強度近視の人は年1回程度の眼科検診を受けた方が良い

強度近視患者が40代以降、特に気を付けるべきリスク

-6D以下の強度近視患者は、正視の人と比べて眼底疾患リスクが数倍高い状態です。特に発症リスクが高いのは、下記3つの症状です。

疾患名
緑内障
近視性脈絡膜新生血管症
裂孔原性網膜剥離
一般発症率
40代以上:約5%※1
-
約0.14% ※2
近視患者の発症率
一般発症率の約2.7倍 ※3
約5~10%※4
-3D以下:一般発症率の10倍以上 ※5

リスクへの対応:年1回以上の眼科検診を徹底する

眼科検診イメージ

網膜剥離や緑内障で怖いのは、初期症状が殆どない場合が多いという点です(急性の場合を除く)。 元々飛蚊症があったり、眼精疲労によって疲れ目との違いを実感し難いなど、自覚できるはっきりとした症状を伴わないことも多く、この場合自分で異変に気付くことができません。

そうした意味で、大切なのは年1回以上の眼科検診です。 個人差はありますが、特に40代以降は初期老眼が始まるタイミングで、見え方に変化が起こり易い時です。 単に「老眼かも」「疲れ目かな」と片付けるのではなく、ICL(フェイキックIOL)の手術有無に関わらず、強度近視患者の方は定期的に目の検査を強くお勧めします。 初期の段階で発見・対処できれば、それ以上の症状悪化を防ぐ可能性が飛躍的に高まります。

ICL(フェイキックIOL)術後の老眼対策は2通り

加えて40代以降には、老眼の問題も降りかかってきます。 ICL(フェイキックIOL)の手術後の老眼対策には、2通りの方法が考えられます。一つは老眼鏡、もう一つは再手術をして遠近両用レンズに取り換えることです。

対処法① 老眼鏡を誂える

老眼鏡イメージ

自分が考える、最も現実的な方法がこちらです。老眼は、近視と同じく時間経過によって症状が進みます。そのため初期老眼の段階で手術してしまうと、のちのち更に老眼が進んだ際に再手術が必要となる可能性があります。 老眼の進行が落ち着くまでは、私自身も老眼鏡で対応する方向で検討しています。

なお、老眼の進行が落ち着くのは概ね60歳頃が目安とされます。但し個人差も大きいため、定期眼科検診で見え方の変化を把握していくことが大切です。

対処法② 再手術で遠近両用ICLを埋め込む

手術室イメージ

老眼になっても裸眼生活を続けたい場合、再手術という選択肢もあります。 具体的には、既に埋め込んでいる近眼矯正用のICLレンズを抜去し、遠近両用レンズに取り換える方法です。 ただこの場合、御自身の目のコンディションや手術を受けるタイミングをしっかり考慮する必要があります。

考慮ポイント① 眼のコンディション

眼内レンズ埋め込み手術を行う場合、手術に耐えうるだけの角膜内皮細胞が残っている必要があります。 角膜内皮細胞は加齢とともに減少する一方で、増えることはありません。また、眼科手術を受ける際に1割程度減少することが知られています。 この角膜内皮細胞、視力を保つのに重要な役割を担っており、極端に減少すると矯正不可能な視力悪化、最悪の場合は失明に至ります。 そのため、角膜内皮細胞が極端に減っている場合、再手術が受けられない可能性も考えられます。

考慮ポイント② 手術を受ける時期

近視同様、老眼も時間の経過によってある程度進みます。つまり老眼初期に手術を行ってしまうと、加齢に伴い眼内レンズの度が合わなくなってしまう恐れがあります。 老眼の進行は個人差がありますが、40代頃に始まり、60歳頃には落ち着くのが一般的なようです。 このことを踏まえると、再手術のタイミングは還暦を迎える頃が現実的ではないかと私は考えています。但し、60代に入ると別の目の疾患【 白内障 】についても考える必要が生じます。

白内障手術についても考慮しておく

ICL(フェイキックIOL)の手術を受けた人が再手術を考える際、もう一つ考慮すべき点があります。それは将来の白内障のリスクです。 ICL(フェイキックIOL)の手術によって、白内障リスクが高まる訳ではありません。 考慮しなければならないのは、眼科手術による【 角膜内皮細胞の減少 】です。

白内障は、本来透明な水晶体が加齢によって濁ることによって起こります。症状が進むと、日常生活に支障を来すレベルにまで極端に視力が落ちてしまいます。 2026年時点での抜本的な対処方法は、白内障手術のみです。これは硬化してしまった水晶体を取り出し、眼内レンズ(IOL)を埋め込むというものです。 留意すべきは、この白内障手術の際にも、ある程度の角膜内皮細胞が犠牲になってしまうという点です。 つまり ① 近視矯正目的のICL(フェイキックIOL) → ② 老眼対策のICL → ③ 白内障対策のIOL と3度の眼科手術を受ける場合、それぞれの段階で角膜内皮細胞を費消してしまうこととなります。

角膜内皮細胞数を温存しつつ、健やかな目を保つ現実的なプラン

減る一方で増やせない角膜内皮細胞。これを温存するには、眼科手術を極力減らすのが一つの方法だと考えています。 安易な再手術(ICLの入れ替え)を重ねることは、将来本当に必要な白内障手術や眼科治療を受けるための「角膜内皮細胞」の数を減らしてしまうことにつながります。

フェイキックIOL(ICL)術後のライフステージ別フローイメージ

具体的には、老眼進行が落ち着くまでは老眼鏡を使い、60代に差し掛かったところで、初期白内障/緑内障の手術と同時にまとめて1回の手術にまとめてしまうのが現実的ではないかと考えています。 なお、白内障手術は健康保険適用対象ですが、白内障症状が出る前に予防的に水晶体を取り出す手術を希望する場合は「自費診療」扱いとなります。この場合、費用は全額自己負担となります。

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